なんとかやってます

ジャニーズWESTとか

◯回目の成人の日

  私に「成人式」の思い出はない。なぜなら、成人式には行かなかったから。とはいえ、確固たる信念があって行かなかったワケではなく、次の日が大学の期末試験だった…という単純な理由。

上京していたので、次の日が試験となると地方の成人式に出るのはキツい。なら成人式はやめとくか…というだけの話。私の周辺の地方出身者はそんな友達がほとんどだったので、成人式に出ないことについて特に何ということもなかった。1月15日が成人の日だった時代。

2月、スキー焼けしたアンパンマンのような顔で、振り袖を着た写真だけ撮った。私は場末のスナックのママのようだったが、母は「二十歳の写真は二十歳の時にしか撮れないから」と、やたら嬉しそうだった。その時は「そんなもんかね」と思っていたが、いざ、自分が娘を持つ身になると、当時の母の気持ちが少しだけわかるような気がする。

 

 その足で祖父母に会いに行った。
 お年寄りが、下の世代の着物姿を見ると嬉しそうなのはなぜだろう。祖父母には、たくさんして貰ったにもかかわらず、特に何も返せなかったので、成人の着物姿を見せられたのが孝行になるのであれば救われる。

正直なところ、二十歳の頃から比べて人間が立派になったか? 中身が豊かになったか?と言われれば、それは否。
先があるワカモノなら青くても可だ。対する自分は、ガワはヨレヨレの割に内側が未熟という、なんともお粗末な端末に愕然とする。でも、たぶん死ぬまで未熟で未完成で足りないまんまなんだよ、それだけは学んだ。

 それでも、こうして成人式の日に綺麗に着飾った新成人の姿を見ると、少しだけあの日の自分を思い出して、もう少しだけやってみましょうかね、と気が引きしまるのも事実で。

成人の日はニ十歳を迎えた人だけではなく、既に成人した人も気分を新たにする日なのかもしれない。